繰り返しになりますが、リノベーションの世界には一般論が通用しません。なので「リノベーションを行う際に、何に注意すればよいですか」とたずねられても一概には言えない、というのが正直なところです。しかし、どの段階においても一番大事なのは、やはり「自分で考えて、自分で行動する」ということ。その大きな目的に果たすために、注意点を3点だけ書いておきます。
賃貸リノベーションだけでなく、どんなビジネスにおいても、究極的には「人と人」が行うものです。そう考えると、やはり重要なことは「気の合う業者を選ばなくてはならない」ということになります。言いたいことを素直に言うことができ、また言われたこともよく理解できるようになることが成功の秘訣と言えます。
資料や見積もりの内容の分かりやすさもポイントとなります。見積もりの項目が分かりにくかったり、計画内容の詳細が分かりにくかったり・・・などといったケースはよく聞かれます。そういった業者の場合は、いちど検討しなおしたほうが良いかもしれません。
このようなトラブルを事前になくすために、人として、またひとつの"家族"として、彼らを新たに迎え入れると考えた時に、気が合うと思える業者を選ぶのがよいでしょう。
オーナーさまの立場で考えれば「できるだけお金をかけたくない」と思うことは当たり前のことですし、私たちとしても、予算と照らし合わせながら最大限の効果を上げるための提案をさせていただいています。しかし、一般的にはそれでも予算の関係上、"中途半端"なリノベーションしかできなくなり、長期的にみると、より大きなお金がかかってしまう、というケースもよくあるようです。
たとえば、お風呂の手前にある洗面所だけをリノベーションして、何年後かにお風呂の修繕が必要になってしまい、比較的きれいな洗面所の部分までもう一度やり直さなければならなくなった。もしくは、キッチンの壁紙だけを変えて、キッチンの改修が必要になったときに、もう一度壁紙まで変えなければならなくなった。これらはよく聞かれる典型的な失敗パターンです。
値段を優先させて耐久性を考えない。上っ面だけをきれいにして、根本的な問題を解決しない。こういったリノベーションを行ってしまうと結局おなじことの繰り返しになり、長期的に見ると余計に費用がかさむことになるので注意が必要です。まずは業者とよく相談して、最適な計画内容をつくりましょう。
入居してもらうためには、無数にある他の物件の中から自分の物件を選んでもらわなければなりません。当然ながら、入居希望者は各物件の諸条件を比較しながら検討しますが、「駅からの距離」やマンション自体の「築年数」などは、今からどうすることもできません。そうなれば、選んでもらうための決め手となるのは、「家賃の安さ」か、機能面やデザインなどの「居住性の高さ」となるでしょう。
ただし、家賃はできれば下げたくないというのがオーナーさまの正直な気持ちだと思います。だとすれば、居住性を向上させるしか方法はないのです。そしてリノベーションによってそれは可能です。
特に、賃貸物件に住もうとしている層は、デザイン性を重要視する割合が高いようです。「おしゃれな部屋に住みたい」と思わない人はいません。また「テレビで紹介されるような部屋に住んでいる」ということは一種の優越感につながります。他の物件と差をつけるために、デザイン面には妥協せずに取り組みましょう。